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医療現場の現状改善に関する意見書(12月8日)

ページ番号:663354551

更新日:2008年12月8日

 都内の医療機関に従事する医師の数は増加する傾向にあると言われていますが、診療科別にみると産科や小児科の医師数は減少する傾向にあります。
 そのため、産科や小児科などの診療科を有する医療機関では、医師の確保が難しく「分娩を制限する」あるいは「小児科の救急医療ができなくなった」という事態も起こりつつあります。
 大田区も例外ではなく、分娩を中止、または休止している病院があると共に、小児科においても大病院に集中する傾向があるなどの現状が顕著に現れています。
 おおよそ69万人もの人口を抱える当区の年間出生数は約5,300人ですが、分娩可能な医療機関はわずか7か所で、2,500人程度の分娩能力しかありません。
 また、昨今報道されている都立墨東病院や杏林大学病院での事案では、総合周産期母子医療センターの医師不足や、NICUの満床による救急搬送患者の受け入れが困難な現状を改めて浮き彫りにしたところです。
 さらに、一連の報道で万が一の事態への不安感が高まり、従前からあった大病院志向が一層強まることで、分娩や小児救急に携わる医師の当直明けに連続する長時間勤務が常態化し、勤務条件の悪化に拍車をかける状態になっていることも見逃すことができません。
 こうした現状を打開し改善するためには、高度医療を守り発展させるためのビジョンを示し、強いメッセージを送ることが必要です。
 よって、大田区議会は国会及び政府に対し、ただちに以下の事項を実施することを望みます。


                                        記


1 初期救急医療体制を確保するため、補助金 を充実し、施設整備や医師等の医療スタッフの確保に十分な対策を講じること。
2 リスクを背負って医療を行う医師を守るた め、救急医療を担う医師の無過失補償制度を創設すること。医療安全調査委員会は実効あるものとして設置すること。
3 周産期医療や救急医療に携わる医師等の医 療スタッフの確保対策として、診療報酬の抜本的な改善を行うこと。また、勤務実態を考慮し勤務条件を改善するため、勤務医等の人員配置を見直すこと。
4 地域の医療機関で安心して産み育てること ができるよう、分娩を行う診療所及び助産所を増やすために必要な環境整備を行うこと。さらには、分娩費用補助などの出産費用軽減施策を実施すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。


                                                               平成20年12月8日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣 あて
                                                               大田区議会議長

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