液状化の可能性を調査する方法

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更新日:2022年6月21日

 液状化の発生を調査する方法をまとめています。
 液状化の可能性が高いかなどの判定は、建物を建てる時に地盤の耐力調査(建物の重さに耐えられるかの調査)で得られた数値と地下の水位の位置及び地盤の種類(砂層とか粘土層等)と粒径の調査によって判定することができます。

地盤調査とは

 地盤調査とは、建物等を建てる際に必要な地盤の性質を把握するために行う調査をいいます。

地盤調査の種類

 地盤調査の方法は、法律で決められています。主な調査方法を紹介します。
 (参考:建築基準法関係告示 平成13年7月2日国土交通省告示第1113号)

ボーリング調査

 ボーリングは、各種原位置試験を実施するための試験孔を提供することを目的に、直径7センチメートルから12センチメートルの孔を地中に作成する作業のことをいいます。その際にコア状の土の試料を採取し、地層の構成や土質の状況を調べる調査で、次に記載する標準貫入試験と併用されます。

標準貫入試験

 ボーリングロッドの上に約63.5キログラムのおもりを76センチメートル程の高さから自然落下させ、先端部の筒状サンプラーを地面に30センチメートルめり込ませるのに要する打撃回数(N値)を測定し、土の硬さを調べます。サンプラーと呼ばれる採取器具を取付けることにより、土が採取されるので、土質状況を直接目で見ることができます。
 最も基本的な地盤調査方法で、正確な地盤調査が出来る反面、調査費用がかかります。

静的貫入試験(スウェーデン式サウンディング試験)

 ロッドの先端に付いたスクリューポイントに0.05キロニュートンから1キロニュートン(参考:1キロニュートンは、およそ100キログラム)の荷重を順次かけていき、ロッドが25センチメートル下がるまでにハンドルを何回転させたかによって地盤の強さを表すN値を推定し、地盤の相対的な硬さ、締まり具合を調べる試験です。一般的に、土質の推定は、貫入中のスクリューポイントの抵抗と摩擦音などにより行い、地下水位はロッドのしめり具合により推定します。
 スウェーデン式サウンディング試験による地盤調査は、調査時間が短く費用も比較的安価なため、木造住宅の宅地によく使われる調査方法です。
 この試験のみでは液状化の可能性を判定することはできないため、試験孔を利用して地下水位を測定し、一定の深さごとに土をサンプリングし室内土質試験を行い、一定の粒の大きさごとの分布(粒径分布)や細かい土の粒子の割合(細粒分含有率)を求め、耐震設計上その地層が液状化するかを判定する指標(FL値)を算出し液状化の可能性の判定をします。

土質試験(室内土質試験)

 ボーリング調査やスウェーデン式サウンディング試験で採取された土の試料を試験機関に持ち込み、土の判別や強度などを調査します。

液状化の可能性の判定方法

 液状化対策の検討方法について紹介します。はじめに、液状化対策の流れを下図に示します。

 図2 液状化の判定フロー

図2 液状化の判定フロー

一次判定

 既存資料(新・旧地形図、土地条件図、地盤調査データ、液状化予測図、等)及び現地調査に基づいて液状化の発生の可能性を調査し、2次判定の要否を判定します。
 以下に、地形区分からみた液状化の可能性の程度について紹介します。

表1 地形からみた判定指針
地表面層の液状化
可能性の程度
地形区分
自然堤防縁辺部、比高の小さい自然堤防、蛇行州、旧河道、旧池沼、砂泥質の河原、砂丘末端緩斜面、人工海浜、砂丘間低地、堤間低地、埋立地、湧水地点(帯)、盛土地(注)
デルタ型谷底平野、緩扇状地、自然堤防、後背低地、湿地、三角州、砂洲、干拓地
扇状地方谷底平野、扇状地、砂礫層の河原、砂丘、海浜

(注釈) 崖・斜面に隣接した盛土地、低湿地、干拓地・谷底平野の上の盛土地を指す。これ以外の盛土前の地形の区分と同等に扱う。

(参考)
 東京の液状化予測図については、東京都建設局及び港湾局が作成しており、都内の液状化の発生の可能性を色別で示しています。
 東京都土木技術支援・人材育成センターのホームページで公開しています。

二次判定

 二次判定は、地盤調査結果から、各層の液状化に対する安全率「FL値」を用いて判断するのが一般的です。
FL値は、地表面から深さ方向に1メートルごとに算出します。FL値が、1.0以下で「液状化の可能性あり」、FL値が1.0を超えると「液状化の可能性なし」と、それぞれ判断できます。
 FL値を算出するためには、ボーリング調査や静的貫入試験(スウェーデン式サウンディング試験)などで採取した土を試験機関に持ち込み、室内土質試験により細かい粒子の割合を示す「細粒分含有率」などを算出します。その上で、通常は、震度5強程度(注1)の地震動を想定してFL値を算出します。なお、より大きい震度6強以上(注2)の地震動を想定してFL値を算定し検討することもあります。この場合のFL値は震度5強程度の地震動の場合に比べFL値が1.0を下回り、「液状化の可能性あり」と判断されることが多くなります。
 FL値の他に、1メートルごとに算出されるFL値を基に深さ方向に重みをつけて足し合わせて液状化の危険度を示す「PL値」や、液状化が発生した際の地盤の変位・沈下量を示す「Dcy値」を算出し、発生の可能性について判断することもあります。

  注1:建築物の存在期間中に数度遭遇することを考慮すべき稀に発生する地震動
  注2:建築物の存在期間中に一度は遭遇することを考慮すべき極めて稀に発生する地震動

 このように、建物を建てようとする場所が、液状化しやすいのかを調べるには、1次診断の「既存資料等による液状化の可能性」で液状化の発生しやすい地域にあるかの調査をして、2次診断で「現地地盤調査結果による液状化の判定」で具体的にどの深さの地盤で発生する恐れがあるのかを調査することになります。

 現在の法律の中では、具体的な液状化対策の規定は設けられていません。
 日本建築学会等から出されている技術指針によるところになります。しかし、家を建てる時に必ず技術指針に基づく検討がされていないと法に不適合になるわけではありません。
 したがって、建て主さんが設計者さんに液状化の検討の有無を求めるかによるところになります。

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