令和7年第2回大田区議会定例会 区長開会あいさつ
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更新日:2025年6月19日
令和7年6月18日
本日、令和7年第2回大田区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様のご参集を賜り、厚く御礼を申し上げます。初夏の陽気が日増しに強まり、真夏を思わせる暑さを感じる季節となりましたが、梅雨入りした区内の各所では、紫陽花などの花々が美しく咲き誇り、見頃を迎えております。一方で、すぐそこに夏の足音が聞こえてくるこの季節は、台風や集中豪雨といった水害や熱中症のおそれも高まってくる時期でございます。区といたしましては、夏本番に向けて、水害対策はもちろんのこと、熱中症対策についても万全な体制を整え、区民の皆様の安全・安心を確保してまいります。
さて、先月28日の記者会見において私は、いつまでも住み続けたいまちNo.1、そして子育てNo.1都市をめざすことを宣言いたしました。本年度は、基本計画・実施計画をはじめ、持続可能な自治体経営実践戦略やシティプロモーション戦略など、10を超える新たな計画の初年度でございます。まさに区政を新たにスタートさせるこのタイミングで、私が最も力を入れている子育てについて決意を表明することで、子育て世代に選ばれる自治体に向け、区長としてさらにギアを上げ、区政運営にまい進していく所存でございます。区ではこれまでも、区内のすべてのこどもたちに寄り添いながら様々な施策を進めてきましたが、これまで以上に、時流の変化に柔軟に対応しながらスピード感を持って、真に求められるサービスや、大田区らしいサービスを提供することで、いつまでも住み続けたいまちNo.1、子育てNo.1都市をめざしてまいります。子育てNo.1都市の実現に向けては、こども・子育て家庭を地域や社会全体で支える環境づくりが重要であり、こうした環境のもとで、切れ目のない支援を整えていることが、大田区らしい独自の取組であります。これまでも、こどもを安心して生み、育てられる環境を整えてまいりましたが、更なる充実を目指して、乳幼児期においては第1子保育料無償化を、小学校に進んだ段階においては、いわゆる小1の壁と呼ばれる始業前の居場所づくりを、そして、新型コロナウイルスにより様々な活動に制限があった当時の区立中学生に対しては思い出づくり事業など、ライフステージごとにサービスの新設や拡充を図ります。こうした新たな取組を行いたいという区長としての強い思いを、先日の記者会見でご紹介したところでございます。私も地域を回る中で、多くの声を聴いており、今後とも、大田区らしい取組の充実を図り、子育てNo.1都市の実現に努めてまいります。
はじめに、(仮称)大田区子ども家庭総合支援センターの開設準備についてご報告申し上げます。現在、区の地域支援の強みと、東京都の児童相談の専門性を融合させ、こどもと家庭をこれまで以上に適切に支援していくべく、令和8年度上半期の開設を目指しているところです。23区で初の取組みとなる児童虐待通告先の一元化や都区双方の職員でチームを組み、相談を迅速に受け付ける体制の構築など、より適切に相談支援を担う仕組みを検討しております。そのため、本年8月に東京都品川児童相談所の児童虐待対応連携拠点を子ども家庭支援センター内に設置するよう、東京都と協議しております。センター開設を見据え、連携拠点には東京都職員が常時複数人、在席する中で、都区連携による新たな児童相談支援の取組みの試行や合同研修等に取り組んでまいります。区は、東京都との緊密な連携によりセンター開設に向けた取組を着実に推進させ、大田のこどもと家庭を支える相談支援の充実を進めてまいります。
続いて、笑顔とあたたかさあふれる大田区らしい「地域共生社会」の実現に向けた取組について申し上げます。少子高齢化の進行や単身世帯の増加、社会的孤立の拡大など、地域が抱える課題は複雑化・多様化しています。特に近年は、8050問題、親亡き後の不安、ひきこもりやヤングケアラーの増加など、分野横断的な対応が求められる課題に直面しており、ともに支え合い、助け合う地域づくりがますます重要です。令和7年には、団塊の世代すべてが75歳以上を迎え、高齢単身世帯、認知症状を有する高齢者等の増加に伴い、今後も介護ニーズの高まりが見込まれます。担い手である介護職員不足は社会全体の問題であり、区においても介護人材等の確保は大きな課題です。今後、このような地域福祉を取り巻く社会状況を十分踏まえ、「大田区地域福祉計画」の基本理念に掲げる「ともに支え合い 地域力ではぐくむ 安心して暮らせるまち」の実現に向けた施策を、一層力強く推進してまいります。今年度は、令和9年度を始期とする「おおた高齢者施策推進プラン」及び「おおた障がい施策推進プラン」の次期計画の策定に向けて、高齢者・障がい者等の実態調査を行います。区民一人ひとりの状況に応じたきめ細やかな福祉サービスが提供できるよう、地域の実情や特性も踏まえた支援ニーズを丁寧に把握・分析してまいります。また今回の調査では、大田区版認知症施策推進計画の策定も見据えております。その背景には、「認知症基本法」の施行に伴う、令和6年度の「認知症施策推進基本計画」の閣議決定がございます。我が国の認知症の人数は増加しており、団塊ジュニアの世代が65歳以上になる2040年には、高齢者の約3.3人に1人が認知症又は軽度認知障害になると見込まれております。こうした傾向は区においても同様と想定されることから、区といたしましては、認知症当事者や家族等支援者の声をしっかりと受け止め、必要な支援体制づくりにつながるよう努めてまいります。このほか区では、持続可能な地域社会の実現に向け、「大田区地域共生社会推進本部」の設置や重層的支援体制整備事業の実施など、全庁一丸となった体制を構築しています。これからも「誰一人取り残さない」という強い決意のもと、支援を必要とする人が地域とつながりながら、生涯にわたり笑顔でいきいきと暮らせるまちをめざし、全力で取り組んでまいります。
続いて、産業振興に関する取組について2点ご報告申し上げます。1点目は、産業分野で大きな課題となっている人材確保についてですが、今年度からの新規事業として「ものづくり等人材確保のための奨学金返還支援」の事前申請を開始いたします。この事業は、区内在住・在勤で、奨学金の返済を抱えている就業者の方を支援することによって、区内中小企業の採用力を強化し、人材確保を促すものです。対象者は、大田区内の中小製造業、運輸業、建設業に令和7年4月以降、新たに正社員として就業をされている方、これから就業される方になります。幅広い方に、区内企業に興味を持っていただけるよう、区としましてもできるだけ多くの方に周知し、区内中小企業の人材確保につなげてまいります。また、企業の皆様も自社の採用活動にこの制度を有効に活用していただき、採用力の強化につながることを期待しております。
さて、昨今の米価格の高騰や食料品の値上げは、国民生活に大きな影響を及ぼしておりますが、2点目は、このような状況下で、区民の皆様が便利でお得にお買い物や飲食を楽しむことができる、「大田区でレッツキャッシュレス!最大20%戻ってくるキャンペーン」の前倒し実施について申し上げます。区内中小個店のデジタル化を図ることを目的に、区民の利便性の向上と生活応援にも繋がる本事業は、区内の対象店舗等で、民間キャッシュレス決済PayPayで支払いをすると、ポイントが還元されるもので、8月の実施をめどに準備を進めているところでございます。区民のみなさまには、便利でお得に、お買い物や飲食にご利用いただくとともに、店舗側にとりましても、売り上げアップや新規顧客の獲得機会につながると同時に、地域全体での消費活動が活性化し、経済循環が促進されることを期待しております。
次にスポーツ、そして文化芸術に関する取組についてご報告申し上げます。はじめに、東京2025デフリンピックの開催についてでございます。スポーツイベントとして、きこえない・きこえにくい選手を意味する、デフアスリートのための国際スポーツ大会「東京2025 デフリンピック」が11月15日から26日に開催されます。東京で開催される夏季デフリンピック競技大会は、日本では初めての開催であり、開催100周年の記念となる大会となります。大田区は、バスケットボールとビーチバレーボールの競技会場となっており、国際大会に世界から訪れる皆様をお迎えする自治体として、パネルや横断幕による大会PRをはじめ、体験会や講演会等を実施いたします。このような取組を通じて、デフリンピックやデフスポーツの魅力や価値を発信し、あと半年と近づいてまいりましたデフリンピック競技大会のさらなる気運醸成に、全庁一丸となって取組んでまいります。
次に、今年3月から龍子記念館にて開催している、名作展「川端龍子の描き出した世界 生誕140年を迎えて」についてでございます。本展では、川端龍子の生誕140年を記念して、龍子記念館が所蔵する代表作を中心に、龍子が生涯にわたって描き出した世界を紹介しております。川端龍子の作品は昨年、富山県水墨美術館、岩手県立美術館で「川端龍子展」が開催され、今年はさらに島根県立美術館、愛知県碧南市の藤井達吉現代美術館への巡回が予定されているなど、近年その功績は多方面にわたって評価が高まってきているところです。会期は6月22日までとなっておりますので、ぜひ皆様も龍子記念館に足をお運びになり、区が誇る文化芸術を体感していただきたいと存じます。
最後に、令和6年度の決算速報値がまとまりましたので、その概要についてご報告をさせていただきます。一般会計におきましては、歳入は3,369億1,920万円余、収入率は95.67%、歳出は3,324億3,988万円余となり、繰越明許費を差し引きました実質収支は1億5,464万円余となります。詳細につきましては、第3回定例会におきましてご報告を申し上げ、ご審議を賜りたく存じますので、よろしくお願い申し上げます。本定例会に提出いたしました案件は、令和7年度一般会計補正予算(第2次)のほか、条例議案6件、その他議案7件、報告議案10件でございます。本補正予算案につきましては、子育て教育施策の充実に資する予算、第1次補正予算編成後に生じた状況の変化に速やかに対応するための予算を計上しております。一般会計における補正予算案の規模は20億8,845万9千円となり、補正後の予算額は3,553億5,872万円余となっております。第2次補正予算案に計上した事業から主なものをあげますと、第一子保育料無償化に伴う保育事業運営等に係る経費、始業時間前の居場所づくりに係る経費、区立中学生への思い出づくりに係る経費等を計上しております。また、条例議案関係では、大田区特別区税条例の一部を改正する条例などを提出しております。提出議案につきましては、いずれも後ほど上程いただいた際、順次ご説明を申し上げますので、よろしくご審議、ご決定を賜りますようお願い申し上げ、招集の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
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