令和5年第3回大田区議会定例会 区長開会あいさつ

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更新日:2023年9月14日

 本日、令和5年第3回大田区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様のご参集を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 初めに、新型コロナウイルス感染症の最近の動向についてですが、今年5月に、季節性インフルエンザと同等の感染症法における5類に移行しました。このような状況下において、この夏も大流行が心配されましたが、現在のところ、急激な感染拡大には至っていません。しかし、未だ流行が継続しており、引き続き注意が必要です。一方で、行動制限のない日常が戻ったことに伴い、今年の冬についても、新型コロナの発生以前のように、季節性インフルエンザが流行する状況が予想されます。その対策として、区では、季節性インフルエンザワクチンについて、重症化リスクの高い高齢者と小児への費用助成を今年度も実施するため、今定例会の補正予算案に計上させていただいているところです。新型コロナウイルスワクチン接種については、9月20日から、オミクロン株XBB対応ワクチンを使用した令和5年秋開始接種を実施いたします。実施にあたっては、区内医療機関や日本工学院の皆様のご協力のもと、万全の体制で臨みます。引き続きワクチン接種の機会を適切に提供することで、区民の健康を確保してまいります。また、コロナ禍では一部の学校行事は、中止あるいは規模縮小を余儀なくされる状況にありましたが、今年の運動会や音楽会等の行事は、軒並みコロナ禍以前の規模で実施されています。この間、学校の創意工夫によって、行事のリモート配信や開催方法の見直しなどが行われました。引き続きこのようなアイディアを生かし、感染対策を万全にしながら、学校生活を色鮮やかに彩り、子どもたちの思い出に残る学校行事を円滑に実施できるようにしてまいります。
 今年の9月1日、防災の日に関東大震災から100年の節目を迎えました。こうした契機を捉え、区民の皆様には区報で「今やろう「防災」「減災」」を合言葉に対策を呼びかけました。7月1日には区内初となる「体感型防災アトラクション」を実施し、小中学生を中心に災害疑似体験を通じて防災意識を高めていただきました。前後しますが6月27日には消防、自衛隊と大田区で合同訓練を実施、災害現場を再現した形で実践的な訓練を行うなど、大規模災害への備えを進めております。災害の記憶を風化させず、そこで得た経験や教訓を忘れることなく、防災力のさらなる強化に取り組んでまいります。また、本定例会では防犯対策として、「防犯カメラ整備事業補助金」の増額補正予算案を提出させていただきました。区内において重大事件が発生し、地域団体の皆様の防犯意識が高まったことを受けて、区としましても機を逃さずに、迅速に対応を図るものです。防犯カメラの設置が促進されることにより、さらなる犯罪抑止効果が期待されます。引き続き、「安全・安心を実感できるまちづくりの実現」を図るため、防災・防犯対策を力強く進めてまいります。
 次に、現在、大田区では新たな基本構想の策定を進めております。7月25日には第1回の基本構想審議会を開催し、学識経験者・有識者・地域団体代表者・区議会議員・そして公募区民の皆様とともに、新たな基本構想の方向性について議論し、その後、「子ども・福祉」、「まちづくり・防災」、「産業・環境」の3つに分けた専門部会を設置して、分野別の将来像についての検討を進めてまいりました。また、審議会や専門部会での検討と併せて、区民の皆様方とともに新たな基本構想の目指すべき将来像を検討していくため、区の現状や区を取り巻く社会情勢等について整理・分析を行い、「大田区データブック」を作成いたしました。この「大田区データブック」は中学生以下を主な対象とした子ども版もご用意させていただいており、若い世代の皆様からも多くのご意見をいただいております。さらに、あらゆる世代の幅広い区民の皆様のご意見を伺うため、一般区民向けのワークショップや、商業施設にブースを設けての意見募集等を実施し、7月14日から9月11日まで実施してきた新たな基本構想策定に向けたアンケートでは、1万7千件を超える非常に多くのご意見を頂戴しております。いただいた数多くの貴重なご意見や、今後の基本構想審議会のご意見を踏まえながら、より魅力的で、多くの方々から選ばれる、大田区の目指すべき将来像を検討してまいります。区議会の皆様におかれましても、今後ともご支援、ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 次に、SDGsの推進についてでございます。既にご覧になられた方も多いかと存じますが、現在、本庁舎正面玄関やJR線路側の壁面、エレベーターホール前上部、また、産業プラザPiOなど、本庁舎内外にSDGs未来都市、自治体SDGsモデル事業にダブル選定されたことを示すステッカー等を掲示しています。さらには、8月6日に行われた大蒲田祭では、SDGsの横断幕を私自ら持ち、PRしてまいりました。本ステッカーや横断幕は環境に配慮した素材であり、多くの区民の皆様にご覧いただき、SDGsの意識付け、行動変容へつなげていくきっかけとしたいと考えています。
 次に、ヤングケアラーに関する区の取組についてでございます。年齢や成長の度合いに見合わない責任や負担を負うことで、育ちや教育等への影響が危惧されるヤングケアラーへの支援を進めていくにあたり、区内の実態を把握するため、小学4年生から高校生世代の約4万人を対象に、本年11月の調査実施に向けて準備を進めております。この調査に併せて、本人や家族に気づきを促し、相談・支援につなげていくため、ヤングケアラーの事例をわかりやすく絵で示し、相談機関を二次元コードと共に記載したチラシを調査のご案内に同封し、お一人お一人に啓発してまいります。子どもからの相談に対応している子ども家庭支援センターでは、8月下旬に「こども専用相談窓口案内」を区ホームページ内に開設しました。小学生向きと中学生向きの2種類で、子どもたちが親しみやすいデザインとしており、相談しやすく、かつ相談に関する情報を一元的に収集できるWebサイトとして運営してまいります。
 次に、8月15日に開催予定であった大田区平和都市宣言記念事業「花火の祭典」につきましては、5年ぶりの開催に向け準備を進めてまいりましたが、台風の影響により実施は叶いませんでした。区は台風7号の進路予測をもとに多摩川河川敷の浸水被害に備え、野球場のバックネットを倒したり、移動式トイレ等を撤去するなどの風水害対策を迅速に行いました。多摩川河川敷を会場とする「花火の祭典」につきましても、当日の天候、事前の会場設営などの状況を踏まえ、区民の皆様や来場されるお客様の安全確保を第一に検討を重ねた結果、やむなく早めの中止を決断いたしました。区としては今後も引き続き、平和の尊さを若い世代に語り継ぎ、戦争のないまちを未来に引き継ぐため、平和関連事業を積極的に進めてまいります。次に、姉妹都市でありますアメリカ合衆国セーラム市から、令和元年以来、4年ぶりに市民訪問団の皆様がいらっしゃいました。訪問団は16名の構成で、7月4日に来日し、17日までの2週間、区施設見学やおおた国際交流センターでの区民交流会、学校訪問などを通して、大田区の魅力を満喫いただき、多くの区民と触れ合いました。滞在期間中は、交流に尽力いただいております「大田セーラムクラブ」の皆様と連携しながら、おもてなしをいたしました。今回の交流再開を新たなきっかけとして、姉妹都市との友好の絆をより一層深めてまいります。
 次に、この度、産業分野における2件の連携協定を締結いたしましたので、ご報告いたします。一つ目は、9月5日に締結をいたしました、「三菱商事都市開発株式会社」様との協定でございます。区では、20年以上前から工場アパートという都市型の産業集積施設を、全国に先駆けて整備をしてまいりましたが、今般、三菱商事都市開発様が区の工場アパート立地助成を活用した、大型の民設民営工場アパートとして区内で初めてのケースとなる「イノーバ大田」を建設されました。本施設の竣工に合わせまして、地域産業の活性化はもとより、地域の安全・安心に関する取組も含めた内容の協定を締結させていただきました。区といたしましては、これをリーディングケースとして、区内産業に寄与する民設民営工場アパートの建設を促進してまいりたいと考えております。二つ目は、9月6日に締結しました日本政策金融公庫大森支店様との協定でございます。同公庫大森支店様とは、すでに融資事業に関する個別協定を締結し、区内企業の経営基盤を支えるサービスの充実を図っているところですが、今回、産業分野における包括的な内容での協定を締結させていただくことで、より多くの産業分野での連携事案を創出してまいりたいと考えております。具体的には、区内企業の海外展開支援を始め、今まさに大きな課題となっている人材確保や事業承継に関すること、またSDGs推進の取組なども含めた、幅広い分野での連携を見込んでおります。3年を超える長きにわたったコロナ禍を乗り越え、再び経済活動が活性化しつつある中、本年11月には羽田イノベーションシティもグランドオープンを迎えます。区では、こうした機会を絶好の好機と捉え、今回締結する協定を含む公民連携の枠組みを積極的に活用し、より一層の地域産業の活性化に注力してまいります。
 次に、区では令和10年を目標年次とする「大田区交通政策基本計画」を平成30年3月に策定し、「暮らし」「都市の活力」及び「環境」をキーワードとする目標を定め、交通分野から生活の質を高めていくまちづくりに向けて様々な施策を展開してまいりました。この間、交通に関わる技術的な進展、コロナ禍における生活様式の多様化など、社会的背景が大きく変化しているため、区では現在、本計画の中間見直しを行っております。中間見直しに当たっては、学識経験者、区民代表、区議会代表、交通事業関係者、関係行政機関、区職員で構成された協議会で議論を進めており、このたび計画の素案をまとめたところでございます。今後、計画素案について、幅広くご意見をいただくためパブリックコメントを10月に実施してまいります。区民の皆様から幅広いご意見をいただいた後、本年度中に計画を更新し、便利でにぎわいのある持続可能なまちづくりを着実に進めてまいります。
 次に、「大田区マンション管理計画認定制度」の創設及びマンション実態調査の実施についてでございます。区は、分譲マンションの適正な管理を地域の皆様とともに推進するため、管理計画認定制度の申請受付を本年10月から開始します。本制度が地域に浸透することにより、区民の皆様のマンション管理への意識が高く保たれ、管理水準の維持向上や資産価値の向上にも資するとともに、周辺地域を含む住環境の維持向上にもつながるものと考えています。なお、本制度の周知に併せて、区内約3,000棟の分譲マンションの管理組合の皆様のご協力を得て、マンションの建物概要や管理状況など、最新の実態を把握するためのアンケート調査を実施します。区では、その調査結果を分析し、今後のマンションの管理水準の維持向上に向けた様々な支援に努めてまいります。
 次に、現在、区の重要施策である新空港線の整備に向けて、整備主体となる「羽田エアポートライン株式会社」及び営業主体となる「東急電鉄株式会社」と連携して取組を進めているところです。鉄道整備の効果は、単に線路と線路を繋ぐだけでは十分に発揮されず、線路がつながることで生まれる新しいヒトやモノの流れを、駅周辺のまちに取り入れていくことによって、十分な効果を発揮することが出来ます。現在、区は、新空港線とともに発展を遂げる沿線のまちの将来像などを取りまとめる「大田区鉄道沿線まちづくり構想」の策定に向けた取組を進めています。本構想及び鉄道と魅力的なまちづくり宣言のもと、新空港線の整備によって、新たな人の流れが生まれることを好機と捉え、蒲田をはじめ、大森や下丸子等の区内の鉄道沿線のまちづくりを行うことで、住み続けたい、訪れてみたいと思える大田のまちを目指してまいります。先日、私が議長、副議長をはじめ複数の議員の皆様とともに斉藤国土交通大臣とお会いした際、こうした区が進める鉄道整備とまちづくりに対して国からもご支援をいただけるよう、区の思いを直接お伝えしてまいりました。引き続き新空港線の整備をテコとして、将来に渡って発展し続ける大田区となるよう関係者との調整を進めてまいります。
 次に、資源プラスチック回収事業についてでございます。本事業は、これまで可燃ごみとして収集していた全てのプラスチックを新たに資源として回収しリサイクルすることで、温室効果ガスの削減やごみ減量等を推進する取組です。令和4年11月から区内の一部地域において本事業を開始しており、今般、大田区が「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」にダブル選定される中、さらなる実施地域の拡大を進めてまいります。実施地域の拡大時期は、令和5年10月からとし、対象世帯数は、これまでの約2万世帯から約12万世帯まで増える予定です。実施地域の皆様には、本事業に関するご案内を丁寧に行いながら「プラスチックごみゼロ」へのご協力を呼びかけております。今後、区といたしましては、引き続き、実施地域の拡大を図り、令和7年度の区内全域実施を目指してまいります。
 さて、今月18日は敬老の日でございます。令和5年9月1日現在、区内高齢者人口は164,522人であり、高齢化率は22.4%となっています。年度内に88歳になられる方は3,687名、100歳になられる方は206名であり、また、100歳以上の高齢者の方は517名、内訳は女性452名、男性65名でございます。区内の男女最高齢は、112歳になられる女性1名の方と104歳になられる男性1名の方となっております。区は、88歳の方に区内共通商品券を、100歳の方及び区内男性・女性それぞれ最高齢の方にお祝い金を贈呈させていただきました。私も先日、新たに100歳を迎える2名の方のお宅を訪問させていただき、お祝いを申し上げてまいりました。お二方ともお元気で、長い人生経験の中から、私自身色々なお話を聞かせていただき、100年という経験の深さを感じることができました。区は、お祝いを贈呈しました高齢者の方々に敬老の意を表すとともに、今日、私たちが安心して暮らせる社会があるのは、そうした方々が社会や地域で努力を重ねてこられた結果であり、引き続き、高齢者の皆様が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられるよう、着実に施策を進めてまいります。一方で、区内のひとり暮らし高齢者の割合は全世帯の約15%であり、また、認知症高齢者数も今後増加する見込みです。こうした高齢化、単身世帯の増加等を背景として、地域社会から孤立する方や身寄りがなく生活に困難を抱える方の課題が顕在化しています。住み慣れた地域において尊厳ある本人らしい生活を継続できるように、地域住民が相互に支える地域社会を構築することが求められています。区は、区民生活を支える全部局が一丸となり、包括的な支援体制を構築できるよう区長を本部長とする「大田区地域共生社会推進本部」を発足させ、8月3日に第2回推進本部会議を開催し、私から部局横断の姿勢で取り組むよう指示いたしました。検討すべき課題は多岐に渡りますが、本部長として私が先頭に立って取り組み、子どもから高齢者までのすべての区民の方々に寄り添い、「笑顔とあたたかさあふれる地域共生社会」をつくってまいります。
 また、今月23日は「手話言語の国際デー」です。世界ろう連盟では、2022年から毎年9月23日の「手話言語の国際デー」に世界平和を表す青色のライトアップを呼び掛け、世界中のきこえない人・きこえにくい人と、きこえる人が一つとなることを目指しています。区では、9月23日に本庁舎内の一部を青色にライトアップし、手話が言語であることを啓発してまいります。同時に、羽田イノベーションシティを開発・運営する羽田みらい開発株式会社にも本取組にご賛同いただき、街区内のライブホール壁面を青色にライトアップする予定です。2025年には、「夏季デフリンピック競技大会 東京2025」が日本で初めての開催となります。去る9月3日には大会エンブレムも決定し、開催に向けた機運が高まりつつあります。区は、今後も公民連携のもと、「手話言語の国際デー」に留まらず、東京2025デフリンピック大会に向けた機運醸成にも取り組んでまいります。
 本定例会では、令和4年度 各会計歳入歳出決算につきましてご認定をお願いしております。このほか、本定例会に提出いたしました案件は、補正予算案では令和5年度一般会計補正予算(第3次)のほか、国民健康保険事業特別会計 補正予算(第1次)、後期高齢者医療特別会計補正予算(第1次)、介護保険特別会計補正予算(第1次)の計4件、条例議案12件、その他議案9件、報告議案11件でございます。一般会計補正予算案(第3次)では、子育て環境の拡充や安全・安心の備え、SDGs推進・デジタル技術活用の加速化に資する予算、第2次補正予算編成後に生じた状況の変化に速やかに対応するための予算、令和4年度決算確定に伴う精算等を行うための予算を計上しました。一般会計における補正予算案の規模は11億3,917万1千円の減額となり、補正後の予算額は3,199億6,938万円余となっております。第3次補正予算案に計上した事業から主なものを挙げますと、子育て環境のさらなる充実として、保育所・幼稚園を利用していない0~2歳児を対象に、他者との関わりの中で、子どもの健やかな成長がはかられるよう、保護者の就労等の有無にかかわらず、定期的に預かる新たな仕組みの創出に取り組んでまいります。SDGsのさらなる推進としては、区オリジナルロゴマーク入り啓発グッズや公民連携推進PR動画の作成・活用等により多様な主体の行動変容につなげ、オールおおたでSDGs達成に向けて取り組んでまいります。私の政策目標である「笑顔あふれる、あたたかい区政」の一つとして、DXの推進による区民サービスの向上、 デジタル活用が困難な方にも丁寧でわかりやすい「人にやさしい窓口」の実現を掲げておりますが、その一環として、申請書作成における区民の負担軽減と窓口の混雑緩和に資する「申請書作成システム」を導入いたします。また、「資源プラスチック回収事業」に運行管理システムを導入し、回収状況のリアルタイム把握や区民へ回収時間をお知らせする回収状況の「見える化」など、運行管理・区民サービスの向上に取り組み、環境分野においてもICTを活用することによりCO2を削減する、いわゆるグリーンバイデジタルの動きを加速してまいります。条例議案関係では、職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例案などを提出しております。
 提出議案につきましては、いずれも後ほど上程の際、順次ご説明を申し上げますので、よろしくご審議、ご決定を賜りますようお願いを申し上げ、招集の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

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