令和5年第2回大田区議会定例会 区長開会あいさつ

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更新日:2023年6月15日

 本日、令和5年第2回大田区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様のご参集を賜り、厚く御礼を申し上げます。5月の臨時会では、区長としての私の思いを込めた施政方針を申し述べさせていただきました。この施政方針を常に心に留め置きつつ、これまでと変わらず自らの足で区内各地を歩き、一つ一つ着実にスピード感をもって施策を実行し、笑顔とあたたかさあふれる大田区を築くため、全力の限りを尽くしてまいります。また、先の臨時会において可決いただいた「大田区基本構想審議会条例」をもとに、今後、大田区基本構想審議会を設置し、新たな将来像についての検討を本格的に進めてまいります。よろしくご支援、ご協力のほどお願い申し上げます。
 まず、新型コロナウイルス感染症の最近の動向について、ご報告させていただきます。新型コロナウイルス感染症は、先月5月8日に、感染症法上の取り扱いが5類に移行されたことにより、コロナ流行前の日常を徐々に取り戻しつつあり、社会活動が活発になっております。しかし、感染対策を全てやめてしまうと、感染者が一気に増加し、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患がある方々に感染が広がる可能性があります。コロナ前の日常を取り戻す行動に切り替えつつ、高齢者や基礎疾患がある方に接する場面では、マスクを積極的に着けるなど、こうした方々を感染から守る対策を行うことが大切です。区民の皆様には、できる範囲の感染対策を継続していただきますようお願い申し上げます。さて、5類に移行して以来、感染者数の報告は全数把握から定点把握になりましたが、直近の報告数は緩やかな増加傾向となっております。 区では、入院患者や重症患者の数など、医療現場のひっ迫の度合いも把握しながら、引き続き感染状況を注視してまいります。また、適切なワクチン接種の機会を提供することで、引き続き区民の皆様の安全・安心を確保してまいります。
 区政の諸点についてご報告を申し上げます。今月1日、水素エネルギーの利活用拡大に向け、大田区・川崎市・東京都による連携協定を締結いたしました。先日、選定されたSDGs未来都市の提案書にも盛り込んでおりますが、現在の取組として、経済産業省の外郭団体である通称「NEDO」の事業に、川崎市や関係企業と共に参加し、羽田空港および周辺地域での水素利活用について調査を進めております。このほか、特別区長会 調査研究機構において、大田区がリーダーとなり、特別区における水素を中心としたクリーンエネルギーの利活用推進に関する研究を行っており、こちらは東京都にもオブザーバーとして参加していただいております。今回、大田区・川崎市・東京都が協定を結ぶことにより、連携はさらに強固なものとなります。カーボンニュートラルの実現に向け、この3者の取組を、空港臨海エリアから広く全国へ発信できるよう、力強く進めてまいります。また、国においては、この水素に関する国家戦略である「水素基本戦略」が2017年に世界で初めて策定されました。そこから、この間の2020年のカーボンニュートラル宣言やロシアのウクライナ侵略によるグローバルなエネルギー需給構造の変化など、水素等をとりまく環境変化を捉え、今月6月に新たに戦略が改定され、より一層、水素の利活用に向けた取組の加速化が期待されるところでございます。こうした動きも踏まえ、今後も国や都、川崎市等とも連携しながらカーボンニュートラル実現に向けた取組、そして2030年SDGs達成に向けてしっかりと取り組んでまいります。また、大田区は、内閣府から2023年度の「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」にダブル選定されたことを受け、議長からもお話のありましたとおり、本定例会より私を先頭に、理事者側もその実践をさらに徹底するべく、クールビズで臨んでおります。SDGs達成に向けた具体的な活動の一つとして、ぜひ皆様もご協力頂きますようよろしくお願い申し上げます。
 次に、羽田イノベーションシティについてでございます。大田区と羽田みらい開発株式会社が公民連携によりまちづくりを進めている羽田イノベーションシティが、今年11月16日にグランドオープンいたします。当日開催が予定されるグランドオープンセレモニーでは、これまでお世話になった関係者の皆様をお招きし、運営事業者や区とともに、晴れの門出を見届けていただきたいと考えております。また、翌17日から19日までの3日間では、未来への新たな可能性を感じていただける機会として、「先端」と「文化」をテーマにしたイベントの開催も予定されております。多くの皆様にご来場いただければ幸いです。羽田イノベーションシティは、令和2年のまち開き以降、このまちを舞台に自動運転バスやロボットの社会実装に向けた実証実験をはじめ、多くの企業が研究開発に取り組んできたほか、このまちならではの最先端技術を体験し、国内外とのつながりや賑わいを多くの方々に感じていただけるイベントを、積極的に開催してまいりました。今後、グランドオープンを契機に羽田イノベーションシティには先端医療研究センターや新たな研究開発拠点、文化発信機能などが段階的に加わり、いよいよ「新産業創造・発信拠点」としての機能を発揮する基盤が完成いたします。より一層、卓越した技術を持つ多様な企業が参画することによって、これまで以上に交流の機会が生まれ、新たなビジネスやイノベーションが創造されることで、区内産業はもとより、国内外に対する波及効果を生み出していけるよう、引き続き、運営事業者とともに積極的に取り組んでまいります。
 次に、新空港線についてでございます。新空港線は、国の交通政策審議会の198号答申において、矢口渡から京急蒲田までの先行整備により、二つの蒲田駅間のミッシングリンクを解消し、早期の事業効果の発現が可能であり、東急東横線などとの相互直通運転を通じて、新宿、渋谷、池袋や東京都北西部・埼玉県南西部と羽田空港とのアクセス利便性が向上するとの意義が示され、このうち矢口渡から京急蒲田までの事業計画の検討は進んでいることから、事業化に向け関係地方公共団体・鉄道事業者等において、費用負担のあり方等について合意形成を進めるべきと提示されたものです。このため、都知事から設置の提案があった「新空港線及び沿線まちづくり等の促進に関する協議の場」において、都区間で、令和2年度から5回にわたって都区の費用負担のあり方に向けて検討を重ね、昨年6月に東京都と合意しました。その中で、大田区が負担する部分についても、特別区都市計画交付金制度の対象事業となるよう都と区で調整を行うことについて合意したところであります。新空港線は区が昭和57年の基本構想に位置付けて以来、今日に至るまで継続的にその実現に向け取り組んできた事業であり、国の答申、都区合意、整備主体である羽田エアポートライン株式会社設立と大きく前進してまいりました。新空港線整備を契機として、戦後の復興により形成され老朽化が進む蒲田駅周辺の市街地の更新や東西連絡自由通路整備など、都市基盤整備に向けた動きを加速化させるとともに、沿線のまちづくりを一層進める好機と捉え、大田のまちをこれまで以上に住みやすく、学びやすく、働きやすい、未来のまちへと発展させてまいります。私は松原前区長の意思をしっかりと受け継ぎ、国、都及び羽田エアポートライン株式会社と連携して、区の悲願である新空港線を少しでも早く整備し、沿線のまちづくりもあわせて進めていくことで、これまで以上に魅力溢れる大田のまちを創ってまいります。
 次に、大田区版「地域共生社会の実現」についてでございます。私は「笑顔とあたたかさあふれる大田区」をめざし、区政運営にあたっての政策目標の一つに「一人ひとりが輝く健康と福祉のまちづくり」を掲げました。福祉分野は、基礎自治体の最大の使命である「住民福祉の増進」に直結する最も重要な分野の一つです。現在の大田区地域福祉計画に掲げる目標は「大田区版『地域共生社会の実現』」であり、地域力を活かし、ともに支え合う地域社会をめざしてきました。私はこれまで区内の隅々を歩き、区民の皆様の声を直接聴く中で、住民同士の「支え手」「受け手」を超えた、ともに支え合う多くの活動を目にしてきました。地域共生社会とは、まさに「笑顔とあたたかさあふれる」地域社会です。今年4月には、こうした包摂的なあたたかい地域社会の実現をめざし、福祉関係の部局のみならず、企画経営部、総務部、区民部、まちづくり推進部等も加わった関係部局で構成する「大田区地域共生社会推進本部」が発足いたしました。私は、この推進本部の本部長として先頭に立って牽引し、区民生活を支える全部局が一体となり、包括的な支援体制の構築に向けて力強く取組を推進してまいります。中でも、特に力を入れたいのが、子ども・子育て家庭への支援です。区は、全国的にも先駆けて策定した子どもの貧困対策に関する計画「おおた子どもの生活応援プラン」に基づき、地域活動団体をはじめとした地域の皆様と連携し、子どもとその家庭を支援する様々な施策に取り組んでおります。生活に困難を抱える子育て家庭に対しては、生活上のお困りごとを受け止め、アドバイスする子ども生活応援臨時窓口の開設のほか、子どもの学習支援事業に加え、若者の将来の選択肢を広げるための学びなおし支援に取り組んでいます。また、社会的包摂の理念のもと、これまで培ってきた「地域力」を活かし、子育て家庭への食の支援や、子どもの貧困対策に資する活動団体等への支援などに取り組み、地域における見守り体制の強化を図っています。さらに、「地域とつくる支援の輪プロジェクト」や大田区社会福祉協議会が事務局を務める「こども食堂連絡会」などを通じて、地域活動団体が活動を展開しやすい土壌づくりを進めております。引き続き、地域活動の推進役である大田区社会福祉協議会への支援と連携を強化しながら、子ども・子育て家庭への支援のみならず、障害・高齢・介護など福祉全体の関係団体・社会福祉法人とのネットワークと支援力の強化にも取り組んでまいります。感染症や物価高騰などの影響により、区民生活を取り巻く環境は依然厳しく、生活困窮や孤立化が進んでいる現状があります。区は、大田区生活再建・就労サポートセンターJOBOTA、大田区ひきこもり支援室SAPOTA、大田区若者サポートセンターフラットおおたをはじめとした各相談支援機関としっかり連携し、生活に困難を抱える方々の支援を強化してまいります。子どもから高齢者まですべての区民に寄り添い、誰もが安心して地域で暮らすことのできる大田区版「地域共生社会の実現」に向けて、今年度策定する福祉分野の主要3計画、「大田区地域福祉計画」、「おおた高齢者施策推進プラン」、「おおた障がい施策推進プラン」でしっかりと将来ビジョンを描き、大田区社会福祉協議会、各社会福祉法人をはじめとした区内福祉事業者や地域活動団体、区民の皆様方と手を携え、住民福祉の増進に全力で取り組んでまいります。
 次に、5月17日の水曜日の夜に、「洗足池 春宵の響」を、洗足池西岸「池月橋」を舞台に4年ぶりに開催いたしました。当日は、約2,000名の方々に日本の伝統芸能を楽しんで頂く貴重な機会となりました。日本の伝統文化を牽引する方々にご出演いただき、笛・お囃子・謡・ピアノの演奏をご披露いただきました。また、今年、生誕200年を迎える勝海舟にちなんだ、「春宵の響」オリジナルの演目も取り入れるなど、充実した内容で実施いたしました。今回も会場周辺での光の演出効果を充実させ、「春宵の響」独特の情緒ある幻想的な雰囲気の中で、日本の伝統芸能と洋楽の競演を楽しんで頂きました。当日の模様をケーブルテレビのご協力で、後日、放送していただき、会場に来られなかった多くの方にも、演奏を楽しんで頂きました。今後も、区内外の方々にも広く日本の文化を発信し、地域文化の振興を推進してまいります。
 次に、水防体制の強化についてでございます。「令和元年東日本台風」により浸水被害のあった田園調布地区において、水防活動の拠点として整備を進めてまいりました「大田区田園調布水防センター」が本年2月に完成し、4月1日から運用を開始いたしました。田園調布地区の河川、水路などにも8箇所の水防監視カメラを新たに設置し、刻々と変化する水位や降雨状況を把握することが可能となるなど、田園調布地区における水防関連情報の収集強化が図られるとともに、遠隔操作による排水活動が可能となりました。また、昨年度運用を開始した「大田区仲六郷水防資機材センター」と合わせ、自家用発電装置を配備し、災害時に商用電源の供給が絶たれた場合にも、2つの水防活動拠点が継続的に稼働できる環境を整えました。去る5月14日には、台風や集中豪雨が多発する時季を前に、水防活動能力の向上を目的として、「大田区・第二消防方面合同水防訓練」を実施いたしました。令和2年度以降、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、区職員のみで実施してまいりましたが、今年は4年振りに地域の皆様や、第二消防方面本部、陸上自衛隊などにもご参加いただく形での実施となりました。令和元年東日本台風の教訓から、区では水防対策として様々な取組を行ってまいりましたが、今後も引き続き、拠点施設の活用や訓練実施を通じて水防体制を強化するとともに、他自治体との連携も図りながら、激甚化する自然災害に対し、区民の安全・安心を確保するための取組を進めてまいります。また、昨今、全国各地で震度4以上の地震が頻発しています。区においても、先日、千葉県南部を震源とする区内震度3の地震が発生いたしました。改めて区としても気を引き締め、しっかりと防災対策にあたってまいります。区民の皆様におかれましても、家庭内備蓄や大田区防災ポータル、防災アプリの活用など、日頃の備えや情報収集等に努めていただきますようお願い申し上げます。
 最後に、令和4年度の決算速報値がまとまりましたので、その概要についてご報告をさせていただきます。一般会計におきましては、歳入は3,081億4,238万円余、収入率は96.09%、歳出は3,041億1,166万円余となり、繰越明許費を差し引きました実質収支は27億59万円余となります。詳細につきましては、第3回定例会におきましてご報告を申し上げ、ご審議を賜りたく存じますので、よろしくお願い申し上げます。本定例会に提出いたしました案件は、令和5年度一般会計補正予算(第2次)のほか、条例議案7件、その他議案11件、報告議案10件でございます。本補正予算案につきましては、社会経済状況の変化に速やかに対応するための予算、第二子の保育料無償化に係る予算として、物価高騰を踏まえたインフレスライド条項の適用による工事費の増額、また、東京都独自支援の第二子保育料無償化に伴う認可外 保育施設等 保護者 負担軽減補助の増額などを計上しております。一般会計における補正予算案の規模は1億2,544万5千円となり、補正後の予算額は3,211億855万円余となっております。また条例議案関係では、大田区特別区税条例の一部を改正する条例などを提出しております。提出議案につきましては、いずれも後ほど上程の際、順次ご説明を申し上げますので、よろしくご審議、ご決定を賜りますようお願いを申し上げ、招集の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

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