令和8年第1回大田区議会定例会 区長開会あいさつ

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更新日:2026年2月16日

令和8年2月13日

 本日、令和8年第1回大田区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様のご参集を賜り、厚く御礼を申し上げます。本定例会の開会に当たり、本年における私の、大田区の自治体経営に関する施政方針を申し上げます。
 
 はじめに、区の物価高騰対策についてご報告申し上げます。国の新たな総合経済対策を受け、物価高騰への対応を迅速に進めるため、昨年末に、令和7年第2回大田区議会臨時会を招集申し上げ、「物価高対応子育て応援手当給付事業」や「生活支援給付事業」などを内容とした補正予算案を提出し、いずれも区議会で議決していただきました。現在、万全の体制を整え、物価高騰の影響を受ける区民・事業者の皆様に一日でも早く支援が届けられるよう、全庁をあげて取り組んでいるところでございます。物価高対応子育て応援手当につきましては、1月23日に対象者の方へ手当のご案内を発送し、対象の9割を超える約5万6千世帯に対して、2月19日に申請不要で給付を行う予定でございます。それ以外の申請が必要な方などにつきましても、速やかに支給できるよう手続を進めております。生活支援給付事業につきましては、片道プッシュ型による給付が可能な皆様に対しまして、「支給のお知らせ」を1月末以降順次、世帯主の方に向けて発送をおこなっております。また、当初、3月上旬を予定しておりました振込日も前倒しして、2月末から順次、振り込みを開始する予定としております。片道プッシュ型によらない給付となる皆様に対しましても、速やかな支給につながるよう、全力で取り組んでまいります。
 
 次に、2月8日に執行されました衆議院議員総選挙における投開票の選挙事務につきましては、選挙管理委員会が設置した外部有識者による第三者委員会において議論が進められてきた再発防止策を踏まえ、公正性と正確性を最優先とした選挙事務の執行に取り組みました。 ただし、一部でミスが発生したことにつきましては、心よりお詫び申し上げます。今回の選挙は、解散から2月8日の投開票日まで16日間という戦後最短期間での実施となりましたが、区としても選挙管理委員会を全面的に支援して全庁一丸となって、区民・有権者の皆様からの信頼回復に向けて、全力で取り組みました。今回の執行状況も踏まえて2月25日に開催予定の第三者委員会から出される提言を受けて、今後、選挙管理委員会が作成する具体的な選挙事務の改善策の策定についても支援をしてまいります。区といたしましても、職員一人ひとりが日常の職務において、コンプライアンスの遵守や適正な事務の遂行などについて、強い意識をもって取組んでいく組織風土の醸成をなお一層進めてまいります。引き続き、区議会の皆様からのご指導・ご助言も賜りながら、区民の皆様からの信頼を最優先に区政運営を進め、組織全体としての適正化を着実に、不断の努力で進めていく所存でございます。

 さて、時代はまさに大きな転換期を迎えています。世界経済の不透明感、止まらぬ物価高騰は、区民生活や事業活動を圧迫し続けています。同時に、足元では「2040年問題」という巨大な波が、着実に押し寄せています。かつての日本の成長を支えていただきました団塊ジュニア世代の皆様がすべて高齢期を迎え、2040年には高齢化率は35%、およそ3人に1人が高齢者になると見込まれています。また、歯止めがかからない少子化により15歳から64歳までの生産年齢人口は年々減少し、2025年から2040年のわずか15年で約1,100万人、約15%が減少すると推計されております。ここ大田区においても、2040年以降の人口減少が見込まれており、社会保障のひっ迫、あらゆる産業や地域活動における担い手不足、つながりの希薄化といった深刻な課題が、私たちの生活を直撃しようとしています。しかし、困難な時代だからこそ、私たちは「未来への投資」を力強く推進し、次世代へと希望をつないでいくべきであります。区は昨年度、基本構想で掲げた将来像を実現するための道筋となる基本計画・実施計画を策定し、持続可能な自治体経営を実践しながら、全庁を挙げて着実に施策を推進してまいりました。一方、区を取り巻く環境の変化は激しく、先が見えない状況が続いております。だからこそ、基本計画・実施計画を羅針盤として明るい未来へ前進し、区民の皆様の「今」の暮らしを守り抜くと同時に、2040年を見据えた戦略的な投資を力強く進めていかなくてはなりません。こうした考えに立ち、令和8年度は「住み続けたいまちNo.1へ 暮らしに寄り添い 笑顔と心をつないでいく予算」と位置づけ、一般会計予算案は3,685億円余、前年度比約158億円、4.5%増と過去最大の規模としました。物価高騰下における生活・産業支援施策、激甚化する災害事象を踏まえた防災・危機管理施策など、喫緊の課題への対策を充実するとともに、基本構想の4つの基本目標に沿って、区民の皆様の暮らしの質やまちの価値を高める「未来志向の戦略的投資」を力強く進めるための予算案としております。また、来年度は、大田区制80周年を迎える節目の年でございます。節目とは、過去と未来の結節点でもあります。これまでの大田区の歩みを振り返り、先人が大切にされてきた「暮らしの価値」を次世代へつないでいくための年にしてまいります。この節目を迎えるにあたり、「いつまでも住み続けたいまちNo.1」「子育てNo.1都市」をめざす決意を新たにし、創意と情熱をもって、区民の皆様とともに喜びを分かち合うことも念頭に置いて予算編成を行い、年間を通じて区民の皆様とともに80周年を祝う記念事業を推進してまいります。それでは、これより基本目標の実現に向けて優先的に取り組むべき施策について申し述べます。

 はじめに、「未来を創り出すこどもたちが夢と希望をもって健やかに育つまち」の実現に向けた施策でございます。人口減少社会において、将来を支えるこどもは、大田区の宝であり、希望でございます。学校教育をはじめとした学びの充実やこどもの居場所づくりなどを推進し、こどもたちがいきいきと成長を重ねることができ、子育てしやすいまちづくりを進めてまいります。まず、こども達の生きる権利、育つ権利等を守り、地域での健やかな育ちを支えるため、大田区のこども家庭支援機能・東京都の児童相談所機能のそれぞれの強みを融合し、協働でこどもと家庭を支える拠点、「大田区こども未来総合センター」を今年の8月1日に開設いたします。この新施設の開設に合わせて組織体制を見直し、現在の「子ども家庭支援センター」の名称を改め、新たに「おおたこども家庭センター」とし、東京都の児童相談所と都内では初の試みとなる、新たな児童相談支援を展開してまいります。続いて、教育環境の整備についてでございます。区では、大田区独自の国際教育である「おおたグローバルコミュニケーション」を推進し、「国際都市おおた」にふさわしいグローバル人材を育成しております。令和8年度は、小学校・中学校にネイティブスピーカーである外国語教育指導員の配置時数を増やし、全校に常駐配置をいたします。また、現在、中学校第3学年を対象に実施しております実用英語技能検定の公費負担での受験について、対象学年を中学校第2学年まで拡充することで、現時点の英語力の確認や、検定試験合格に向けた目標設定による英語学習の意欲向上を図る機会を増やします。これらの取組により、こどもたちが主体的に英語を使ってコミュニケーションを図ろうとする意欲と態度を育むとともに英語力を向上させてまいります。また、物価高騰が長期化する現状などを踏まえ、学びの場で必要となる教材等に関する無償化を新たに実施いたします。保護者の経済的負担を軽減するとともに、こどもたち一人ひとりが自らの可能性を広げ、個性と能力を最大限に発揮していくことができる教育の充実を社会全体で支えてまいります。

 次に、「文化を伝え育み誰もが笑顔でいきいき暮らすまち」の実現に向けた施策でございます。まず、持続可能な地域活動に資する今後の仕組みづくりについてでございます。区は、地域のつながりや学びの循環を核に、誰も取り残さないまちづくりを長期的に支える基盤づくりをめざした取組を地域の皆様とともに進めております。これまでも、地域の多様な主体が協働しやすい仕組みの確立に向けて、区民・事業者・団体が横断的に関係性を結ぶ地域力推進会議や各地区の地域力推進地区委員会などにより、地域課題の解決や地域力の向上に努めてまいりました。今後は、これまでの取組を継続・拡充するとともに、地域の最前線にある特別出張所や地域包括支援センターなどの横断的な連携をさらに深め、地域の課題に「気づく・つなぐ」、いわゆる中間支援機能の向上を図るなど、支え合いの地域共生社会の推進に向けた取組を充実してまいります。地域との連携・協働にあたっては、昨年9月11日の豪雨被害などを教訓とした被災者支援の拡充など、安全・安心なまちづくりに加え、多言語相談窓口の体制拡充など外国人との共生の観点や、区民活動支援サイトの充実、公共施設利用システムうぐいすネットのDX推進など、区民主体の活動を支援し地域づくりに参加しやすい仕組みや環境をしっかりと整備してまいります。加えて、個人のウェルビーイングの向上が課題となる中、文化芸術やスポーツなどを重要な地域づくりの資源と捉え、これらを活用した「学びと交流の拠点づくり」を加速させることも重要です。その取組の一つとして、文化センターを地域に身近な学びの拠点として改めて整備し、文化芸術やスポーツと生涯学習が有機的に連携した地域の自主的な活動と生きがいづくりを生み出す仕組みを整えてまいります。続いて、福祉施策に関する取組についてでございます。冒頭でも触れたように2040年には、85歳以上人口を中心とした高齢化の進行と、生産年齢人口の減少が見込まれています。特に都市部においては、高齢人口の増加がより顕著になると想定されており、医療・介護ニーズを抱える方や認知症高齢者、独居高齢者の増加などが今後の大きな課題として挙げられております。介護・福祉サービスの担い手である介護職員をはじめとした福祉人材の不足は、深刻な社会問題となっており、区においても要介護・要支援認定者数が増加している中、喫緊の課題となっています。新年度予算においては、これら課題解決に向けた様々な事業を盛り込むなど、これまで以上に踏み込んだ施策を実施し、質の高い福祉サービスの安定的な提供体制の確保を図ってまいります。あわせて、福祉現場におけるカスタマーハラスメント問題への対応にも力を入れてまいります。現在、区内福祉事業者の皆様と連携・協力しながら、カスタマーハラスメント対策・対応マニュアルの作成を進めており、福祉従事者が安心して働くことができる環境の整備を図ることで、福祉人材のさらなる確保・定着につなげてまいります。高齢者・障がい者の地域における暮らしを支える支援体制の充実にあたっては、地域密着型サービス施設や障がい者施設等の整備を引き続き進めてまいります。また、「視覚」や「聴覚」に障がいのある方の情報保障と意思疎通支援の充実により、障がいの特性に応じた自立と社会参加の促進を図ってまいります。続いて、健康施策に関する取組についてでございます。現在、区では、区民の皆様の健康を支える「おおた健康プラン第四次」の策定を進めております。次期計画では、「誰もが生涯にわたって健康で生きがいを持ち、いきいきと暮らせるまちをつくります」を計画理念に掲げ、「健康寿命の延伸」、「主観的健康感の向上」をめざします。「主観的健康感」は、「自分は健康であると感じる」ことを意味し、新たに位置付ける目標です。「主観的健康感の向上」のためには、心身の健康に加え、生きがいを感じることや社会とのつながりなども大切です。そのため次期計画では、「生涯を通じた心身の健康づくり」をこれまで以上に拡充するとともに、「健康を支えるための環境づくり」にも取り組み、社会とのつながりを強化してまいります。3月中に計画を策定し、区民の皆様に、「自分は健康である」と実感いただけるよう、区の健康施策を着実に推進してまいります。

 次に、「豊かな環境と産業の活力で持続的に発展するまち」の実現に向けた施策でございます。まず、環境施策に関する取組についてでございます。区の環境施策は、他の自治体と同様、公害問題を皮切りに、環境保全対策、さらには脱炭素社会への推進にも乗り出し、2030年度までのカーボンハーフ、2050年度までのカーボンニュートラルを達成させる目標を掲げ、それを実現するための戦略をとりまとめた「第二次大田区環境基本計画」を昨年3月に策定したところでございます。現下の国の動向では、本年4月施行予定の「改正GX推進法」のほか、化石燃料賦課金制度が2028年度から導入されるなど、社会経済情勢に応じた法整備が立て続けに進められております。こうした中、区では、気候変動からの影響に備える「適応策」については、庁内関係部局が連携して、風水害対策、インフラ整備、熱中症対策などを講じるとともに、温室効果ガスの排出を減らす「緩和策」については、資源環境部の取組として、区有施設における「再エネ電力調達の導入拡大」、「高効率燃料電池の先駆的導入」、「空調及び換気制御システムの先進的導入」、「公共施設のZEB化」など、新たな環境施策を次々と展開しているところでございます。環境政策は、区の様々な施策の礎を担う枢要な政策であることから、自治体が自ら率先して環境施策を戦略的に企て、着実に推進していくことが肝要であります。そのために、区は、区民や事業者の皆様に対し、「行動変容に繋がる効果的な普及啓発」を重ねていくとともに、技術革新が日進月歩で進展する中、次代に向けた具体的な施策を公民連携により一層推進し、財政負担の軽減を念頭に置きながら、部局横断的な取組となる環境施策を、今後も柔軟な未来志向で積極果敢に取り組んでまいります。続いて、産業施策においては、未来を見据え、区内産業を取り巻く環境をマクロ視点から分析し、区内の多様な産業者が区内で事業を持続的・継続的に発展させることができるよう、区内産業集積を維持・発展させてまいります。未来を創る新分野にも注目し、「産業のまち大田区」のブランドをさらに高めてまいります。一例として、地域産業の担い手となる人材確保の観点から「新しいものづくり」プロモーション事業を開始いたします。当事業は令和7年度から開始した「ものづくり等人材確保のための奨学金返還支援事業」に加えて、区内企業の採用活動を後押しすることをめざしております。区制80周年を迎える、この機に「新しいものづくり」を「わくわくする未来を生み出す、創造的な活動」と定義し、製造業のみならず、広く区内産業をアピールしてまいります。また、羽田イノベーションシティを主な舞台に、区内外の企業同士の交流・連携機会を創出し、企業の変革を促進するとともに、新たな挑戦を積極的に支援してまいります。さらに、区内の商店街や農業など、多様な産業の魅力も多面的かつ効果的に発信し、区内外から多くのヒト・モノ・コト・情報を呼び込んでまいります。現在、区内中小企業を取り巻く環境は、変化が著しく不確実性の高い状況にありますが、区においても、新たな経済環境にも迅速かつ柔軟に対応できる体制を整備し、大田区が将来にわたり「産業のまち」として発展するための礎を固めてまいります。

 次に、「安全・安心で活気とやすらぎのある快適なまち」の実現に向けた施策でございます。近年頻発する自然災害への備えはもとより、日々の生活を心穏やかに安全で快適に過ごせるまちづくりを進め、誰もが住み続けたいと思えるまちをめざしてまいります。まず、防災対策についてでございます。昨年9月11日の記録的短時間豪雨により、雪谷地区をはじめ区内各地に多くの被害がございました。また、昨年12月には国において首都直下地震の被害想定が見直されるなど、災害に関する本区を取り巻く状況は大きく変化しております。このような中、防災対策の再構築を遅滞なく進めていくことは、区に課せられた極めて重要な責務であります。区はこれまで、避難所環境の改善や、災害時における物資輸送体制の確保、帰宅困難者の対応等について、過去の大規模災害の教訓を踏まえ、実効性を重視した多角的な検討を重ねてまいりました。災害リスクの変化やこれまでの検討成果を的確に反映し、令和8年度は、本区の防災対策の指針となる「大田区地域防災計画」の改定に着手いたします。新年度予算には、計画改定に先駆けて優先的に取り組むべき諸施策を確実に盛り込みました。区民の皆様の命と暮らしを守るため、引き続き防災対策に全力を尽くしてまいります。続いて、新空港線と沿線のまちづくりについてでございます。新空港線については、昨年、第一期事業の整備主体である羽田エアポートライン株式会社と営業主体である東急電鉄株式会社が国土交通大臣に提出した速達性向上計画が認定され、この認定をもって、新空港線第一期事業を行うための許可を受けたこととなりました。今後は、羽田エアポートライン株式会社が都市計画と環境影響評価の手続きを進めるとともに、鉄道施設の設計等を行ってまいります。また、新空港線とあわせて、沿線のまちづくりを進めてまいります。蒲田駅周辺のまちづくりについては、1月に改定した「蒲田駅周辺再編プロジェクト」に基づき、駅東西を結ぶ自由通路等の整備に向けた計画を具体化するとともに、蒲田の将来のまちの姿に、区民の皆様が期待をもっていただけるよう、戦略的なPRに努めてまいります。また、下丸子駅周辺のまちづくりについては、法指定踏切の解消に向けた準備を進めるとともに、踏切解消後のまちづくりの具体化を進めてまいります。

 最後に、DXを活用した区民サービスの向上に資する施策でございます。デジタル技術を効果的に活用し、業務の効率化・迅速化・最適化につなげるとともに、便利で快適に暮らせる地域社会の実現に向け、地域の特性を踏まえた施策を、スピード感を持って推進してまいります。「行かない」「書かない」「待たない」「回らない」窓口の実現をめざすとともに、新たな窓口拠点の設置や本庁舎窓口の機能拡充など、行政手続き環境を刷新し、誰もがストレスなく利用できるスマートな窓口サービスへと進化させてまいります。今この瞬間の選択、そして今実行する施策の積み重ねこそが、2040年を生きる区民の皆様の未来を形作ります。「今」の暮らしを断固として守り、2040年への「未来」を切り拓く。この重い使命を胸に、職員力を結集し、区民の皆様の期待に応える区政を力強く邁進させてまいります。議員各位、ならびに区民の皆様のご理解とご協力を心よりお願い申し上げ、私の施政方針といたします。なお、本定例会に提出いたしました案件は、予算関係では先ほどご説明をいたしました令和8年度予算(案)のほか、令和7年度一般会計補正予算(第6次)などの予算議案が計8件、条例議案25件、その他議案8件、報告議案14件でございます。議案につきましては、いずれも後ほど上程いただいた際、順次ご説明を申し上げますので、よろしくご審議、ご決定を賜りますようお願いを申し上げ、招集の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

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