令和7年第3回大田区議会定例会 区長開会あいさつ

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更新日:2025年9月16日

令和7年9月12日

 本日、令和7年第3回大田区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様のご参集を賜り、厚く御礼を申し上げます。昨日、正午過ぎから夕刻にかけて大田区では累積雨量128.5ミリの大雨となり、記録的短時間大雨情報が大田区で初めて発令されました。これを受け、丸子川及び呑川流域に緊急安全確保を発令しました。区内の被害状況は、ただいま集約中でございますが、現時点で把握している状況としまして、雪谷地区を中心に浸水被害が94件、道路被害が29件と多くの被害が発生しております。被害を受けた皆様に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。区では、本日11時に被害の多かった雪谷特別出張所に「豪雨に関する緊急災害対応窓口」を設置するとともに、各特別出張所において罹災証明や災害見舞金、家屋の消毒や災害ごみのご相談等をお受けしております。区といたしましては、この度の豪雨被害に速やかに対応するとともに、線状降水帯など予測困難な災害への対策を一層強化してまいります。
 次に、去る7月20日に執行されました参議院議員選挙における投票用紙の交付誤りに加え、開票事務において、公職選挙法に抵触する重大な不適正事案が発生したことについて、深くお詫び申し上げますとともに、その経緯と対応についてご報告申し上げます。本件は、本区の投票事務において不在者投票者数の一部を二重計上し、開票事務において、その結果生じた投票総数と実際の票数の差異を、架空の白票及び不足票として不適正に処理したという、公正な選挙制度の根幹を揺るがす行為が行われたものであります。区では、公職選挙法に抵触する行為について、警察に告発状を8月15日に提出をし、8月29日に正式に受理されました。また、選挙事務の立て直しに向けて必要な人事異動を行うとともに、区民の皆様からの信頼を取り戻すべく、区長部局に部長級の「内部統制統括官」を設置し、区役所業務全体のさらなる公正で適正な事務執行に向けて邁進してまいります。さらに、今回、議案として提出させていただいております、選挙管理委員会が設置する予定の第三者による「大田区選挙事務不適正処理再発防止検討委員会」を早期に立ち上げることが出来るよう、選挙管理委員会と連携すべく、庁内に準備会を設置いたしました。区民の皆様の信頼を回復するためには、今回の事案の全容解明と責任の所在の明確化、そして実効性のある再発防止策の策定と実施が不可欠であります。区長として、今回の事態を厳粛に受け止め、選挙管理委員会としっかり連携を図りながら、全力で取り組んでまいる所存です。重ねて、このたびは誠に申し訳ございませんでした。議員の皆様におかれましては、引き続きのご指導とご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
 さて、今年の夏も全国的に平年より気温が高く、例年にも増して暑い日が続いた厳しい夏でございましたが、そのような中での区政の動きをご報告いたします。はじめに、平和都市宣言記念事業「平和のつどい」についてでございます。戦後80年という節目の年にあたる今年、8月15日の終戦記念日に平和都市宣言記念事業「平和のつどい」の平和記念式典を開催し、8月28日に平和祈念花火の打上げを実施いたしました。関係機関と綿密に連携を取りながら細心の注意を払い、両イベントを無事開催できたことを大変うれしく思っております。8月15日の区民ホール・アプリコでの平和記念式典では、映画の上映会、ワークショップなどの取組を通し、子どもから大人まで約2,200人と、多くの方々に来場していただきました。特に今年は、長崎市長からメッセージをいただくとともに、東京大空襲の体験伝承者の方による貴重な講話などを通じて、戦争の悲惨さと平和の尊さをより深く考える機会となりました。また、8月28日の多摩川河川敷での平和祈念花火では、約84,000人の来場者の皆様に、約4,000発の花火の打ち上げを披露いたしました。暑さ対策など課題はございますが、本年度の成果と合せて、十分検証しながら、区民の皆さまが安心して楽しんでいただける花火となるよう、今後も取り組んでまいります。引き続き、平和の尊さをしっかりと次世代に伝えながら、笑顔あふれる暮らしが送れる大田区になるよう平和関連事業を積極的に進めてまいります。
 続いて、区立公園における花火利用の試行実施についてでございます。今年の夏、52箇所の区立公園において、花火利用の試行実施をいたしました。5月の記者会見の中で、子育てNo.1都市の実現に向けた独自の取組の一つとしてご報告させていただきましたが、実施期間中には、数多くのマスコミにも取り上げられ、利用者からも「子どもと夏のいい思い出ができた」といった声が寄せられています。今後も公園での花火の利用だけでなく、様々な体験を通し魅力ある大田区を子育て世代にアピールしてまいります。
 続いて、9月は防災の日、敬老の日があり、また認知症月間でもありますので、関連した取組を何点かご報告いたします。まずは、防災意識の醸成に向けた取組でございます。去る7月26日、27日に、カムカム新蒲田において「体感型防災アトラクション」を実施いたしました。次世代型防災訓練として親子連れを中心に総勢380名にご参加いただき、大変ご好評を賜りました。また、防災の日の9月1日から5日間、グランデュオ蒲田と区役所本庁舎において「防災週間フェア」を開催し、企業や消防署のご協力のもと、在宅避難に関する展示を行いました。区では、過去の災害から得た教訓を風化させないために、区民の皆様に災害への備えの重要性を訴えかけ、首都直下地震等に万全を期すべく、防災力の強化に全力で取り組んでまいります。なお、本定例会におきましては、災害用シャワーの整備に係る補正予算案を提出させていただいております。災害時であっても区民の皆様の心身の健康を維持できるよう、迅速な対応を図るための取組でございます。また、近年、いわゆるトクリュウによる凶悪犯罪が発生しております。区民の皆様の不安を払しょくするため、家庭用防犯カメラなど被害防止に有用な機器の購入費用を補助する緊急対策事業を7月から開始いたしました。ぜひとも補助金を積極的にご活用いただき、ご自宅の防犯対策を強化いただくようお願いいたします。
 続いて、大田区災害時福祉支援チームの結成についてでございます。この度、区内で大規模な災害が発生した際、避難所における要配慮者の不安の解消と早期の生活再建を図るため、地域包括支援センター職員を中心に、社会福祉士やケアマネジャーなどの福祉専門職を加えた「大田区災害時福祉支援チーム」、通称オーワットを結成することといたしました。オーワットの活動内容は、3つございます。「要配慮者の相談支援」、「生活再建に向けたサービスの利用支援」、そして、「把握した要配慮者のニーズや情報の区への提供」です。オーワットの結成にあたり、おおた社会福祉士会、大田区介護支援専門員連絡会の両会と「災害時における要配慮者支援活動等の協力に関する協定」を本年7月9日に締結いたしました。今回の協定締結を機に、社会福祉士やケアマネジャーなどの福祉専門職との連携を一層深め、区民の皆様が安全で安心に暮らせるまちの実現に向け、引き続き災害時における支援体制を強化してまいります。
 次に、9月15日は敬老の日です。区では、区内男性・女性それぞれ最高齢の方及び満100歳の方にお祝い金を、満88歳の方には、私、区長からの米寿お祝いメッセージカードを贈呈させていただきます。8月15日現在、区内男性・女性それぞれの最高齢は、111歳の女性の方と106歳の男性の方です。年度内に100歳になられる方は、男性30名、女性218名の合計248名で、88歳になられる方は、男性1,217名、女性2,360名の合計3,577名でございます。区は、お祝いを贈呈させていただく方々をはじめ、高齢者の皆様に敬老の意を表すとともに、誰もが住み慣れたまちで安心して暮らせる大田区を目指して、着実に施策を進めてまいります。また、9月21日は、「世界アルツハイマーデー」です。国際アルツハイマー病協会が世界保健機関(WHO)と共同で制定し、わが国でも、9月21日を「認知症の日」、9月を「認知症月間」と定めています。区では、この9月の1か月間、「広げよう 優しいオレンジの輪 ~Paint it Orange~」をキャッチフレーズに、区役所本庁舎3階での若年性認知症の方の作品展や、区立図書館での認知症関連図書の一斉展示など、区内各所で認知症への理解を深めるイベントを実施しています。「認知症の日」である9月21日には、18時から0時まで、本庁舎と障がい者総合サポートセンターにて、認知症啓発のシンボルカラーであるオレンジ色のライトアップを行います。認知症になっても希望をもって自分らしく安心して暮らし続けられるまちの実現に向けて、区民の皆様への呼びかけを行ってまいります。そして、毎年9月23日は、「手話言語の国際デー」です。この日は2017年に国連総会での決議により、手話が言語として確立されていることを世界に示し、聴覚障害のある方の人権を保障するために制定され、わが国でも、本年6月に施行された「手話に関する施策の推進に関する法律」において、9月23日は「手話の日」とされています。手話言語への想いを込めまして、「手話の日」当日は、区役所本庁舎、羽田イノベーションシティ、障がい者総合サポートセンターを手話言語の国際デーのイメージカラーであるブルーにライトアップします。11月には「東京2025デフリンピック」が日本で初めて開催されます。大会の成功を願いまして、大田区総合体育館と大森海苔のふるさと館では、ブルーに加え、デフリンピック東京大会のイメージカラーである桜色のライトアップも行います。これらの取組に加え、私もビデオメッセージにて手話言語やデフリンピックへの想いを発信しています。大会までいよいよあと2か月ほどと迫ってまいりました。引き続き区内の一層の気運醸成に向け、全庁一丸となって取り組んでまいります。SDGsの「誰一人取り残さない社会」の理念のもと、聞こえる、聞こえないにかかわらず、共に協力し合う共生社会の実現に向け、コミュニケーションや心のバリアフリーがさらに推進されることを期待しています。
 そのほか、区政の諸点につきましてご報告申し上げます。はじめに、「大田区こども未来会議」の設置についてでございます。こどもまんなか社会の実現を目指す中、区では本年3月に、こども・子育てに関する計画である「大田区こども未来計画」を策定したところです。今後、これをさらに発展させ、区のこども・子育て施策を、より総合的かつ一体的な取組として進めるため、「大田区子ども・若者計画」及び「おおた 子どもの生活応援プラン」を合わせた3つの計画を統合し、こども基本法に基づき各計画を一体のものとした「市町村こども計画」を策定することとしました。計画の策定に取り組むにあたり、学識経験者、保護者や若者などの当事者、地域や支援団体の代表、学校関係者などの委員の方に調査審議いただく「大田区こども未来会議」を設置するため、今回、条例議案を提出させていただきます。「大田区こども未来会議」を通じて、様々な視点からのご意見をいただき、区のこども・子育て施策をさらに進め、子育てNo.1都市を目指してまいります。
 続いて、大森西地域力推進センターの第Ⅰ期開設についてでございます。第Ⅰ期といたしましては、新設の区民活動施設のほか、5つの施設が入ってまいります。9月1日からは大森西保育園と大田福祉作業所大森西分場が、9月9日からは大田区シルバー人材センター大森西作業所が、それぞれ移転を終え、運営を開始しております。今週末、大森西特別出張所及び地域包括支援センター大森の移転が完了したのち、9月15日には、開設セレモニーを行う予定でございます。なお、第Ⅱ期竣工後の開設となる区民活動支援施設大森、子ども交流センターは、大森西区民センター及びこれまでの大森西保育園の既存施設を利用し、仮移転いたします。第Ⅰ期開設に先駆けて、8月25日、26日には、内覧会を実施し、区議会議員の皆様、大田区自治会連合会正副会長や大森地区の自治会連合会長を始め、大森西地区の自治会町会の皆様や施設利用者など、214名の方々に、まだまだ猛暑の中、 お越しいただきました。心より感謝申し上げますとともに、ご期待の大きさを感じたところでございます。大森西地域力推進センターが、地域における新たなランドマークとして、自治会連合会、民生委員児童委員、青少年対策地区委員会、商店会を始め、この地で育まれてきた多様な団体との連携を、より一層深めながら、地域の力を相乗させ、賑わいづくりや地域の課題解決を図っていく拠点となるよう、取り組んでまいります。改めまして、これまでのご協力に心より感謝申し上げますとともに、引き続きご理解賜りますようお願い申し上げます。
 続いて、新空港線の進捗についてでございます。羽田エアポートライン株式会社及び東急電鉄株式会社より、都市鉄道等利便増進法に基づき、第一期整備の速達性向上計画への同意を求める協議が、7月7日付けで東京都及び区にございました。両者はこの協議に同意し、羽田エアポートライン株式会社及び東急電鉄株式会社は8月1日付けで国土交通大臣に本計画の認定を申請いたしました。この速達性向上計画が認定されますと、第一期整備が鉄道事業として正式に許可されたこととなります。また、これと並行して、蒲田駅周辺の将来のまちの絵姿をお示しするため、蒲田駅周辺再編プロジェクトについても今後改定してまいります。
 続いて、8月27日に23区初の取組として「大田区と東京ガス株式会社との公民連携による空家等対策の推進に関する基本合意書」を締結いたしました。区は、空家対策の早期対応の取組を強化するため、東京ガスグループのネットワークを最大限活用できる東京ガス株式会社と連携し、地域の住環境の維持向上に努め、いつまでも住み続けたいまちNo.1を目指してまいります。
 次に、環境分野の取組でございます。環境保全分野における課題としましては、駅周辺におけるたばこのポイ捨て、住宅地のごみ集積所におけるカラスの被害、民家の軒先に空き缶などが山積みされた状況など、衛生的にも好ましいとは言い難い状況が散見されます。いずれも、かねてより続く根深い課題ですが、しっかりと対策を講じることで、着実に懸案課題の解決につなげてまいります。他方、リチウムイオン電池をはじめとする小型充電式電池による火災事故が増加しております。国からは今年4月に、これら電池の適正処理に関する方針と対策に係る通知が、全国の自治体に発出されておりますが、その後も収集運搬車両や、ごみ処理施設における火災が度々発生している状況でございます。本区においても今年5月に、城南島の廃棄物処理施設で、リチウムイオン電池が原因の火災が発生したことは、皆様のご記憶に新しいことと存じます。小型充電式電池は、区民の皆様が日常生活で使用する家電などの機器に広く浸透しているものであり、適正処理に向けた一層の取組が求められております。まずは区民の皆様に適正排出をしていただくことが最も重要であり、区といたしましては、そのための周知、広報を一層拡充してまいります。また、回収、保管、処理の際の安全性や、排出をする区民の皆様の利便性等、様々な角度から検討を行い、区による効果的な回収体制を構築してまいります。
 最後に、嬉しいご報告をさせていただきます。去る8月29日に、国民年金事業の功績があった市区町村に対する厚生労働大臣表彰を受賞し、安藤たかお厚生労働大臣政務官より表彰状を頂戴してまいりました。国民年金制度の周知や分かりやすい手続きに向けたお知らせをはじめ、対象となる区民の皆様に寄り添った対応などが、大田区における納付率の向上に繋がったと評価いただきました。 基礎自治体として、区民の皆様の生活に直結する国民年金制度の適切な運用が評価されたことは、私としても大変うれしく感じるとともに、頑張ってくれた職員に心から労いの気持ちを伝えたところです。今後も、国民年金に限らず、あらゆる行政サービスにおいて区民の皆様に寄り添ったきめ細やかなサービスを提供し、区民の皆様の信頼に応えられるよう、より一層努力を重ねてまいります。
 本定例会では、令和6年度 各会計歳入歳出決算につきましてご認定をお願いしております。このほか、本定例会に提出いたしました案件は、補正予算案では令和7年度 一般会計補正予算(第3次)のほか、国民健康保険事業 特別会計 補正予算(第1次)、後期高齢者医療 特別会計 補正予算(第1次)、介護保険 特別会計補正予算(第1次)の計4件、条例議案6件、その他議案5件、報告議案14件でございます。一般会計補正予算案(第3次)では、現下の行政課題に速やかに対応するための予算、第2次補正予算編成後に生じた状況の変化に速やかに対応するための予算、令和6年度決算確定に伴う精算等を行うための予算を計上しました。一般会計における補正予算案の規模は23億1,080万5千円の増額となり、補正後の予算額は3,576億6,952万円余となっております。物価高騰に賃金の伸びが追い付いていない現下の状況において、区民生活の支援や地域経済の活性化は喫緊の課題であります。第3次補正予算案に計上した事業のうち、区民生活と区内経済を支えるための取組から主なものを挙げますと、物価高による経済的負担が特に大きいひとり親家庭への臨時給付事業や、区内経済の支援も兼ね、幅広く区民生活を支援するためのキャッシュレス決済ポイント還元キャンペーン事業に係る予算を計上しております。また、介護・障害福祉サービス事業所、保育サービス事業者や私立幼稚園等を対象に、10月から翌年3月までの食材料費や電気代、ガス代等について、物価高騰相当分の補助を継続するための予算を計上したほか、緊急経済対策として、公共施設におけるLED化工事などに係る予算を計上しております。条例議案関係では、職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例案などを提出しております。提出議案につきましては、いずれも後ほど上程いただいた際、順次ご説明を申し上げますので、よろしくご審議、ご決定を賜りますようお願い申し上げ、招集の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

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