アスベストとは

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更新日:2018年5月21日

石綿(アスベスト)の定義

天然に産出する繊維状けい酸塩鉱物の一部の俗称で、国際労働機関(ILO)が1986年に採択した石綿条約においては、石綿を「蛇紋石族造岩鉱物に属する繊維状けい酸塩鉱物であるクリソタイル及び角閃(せん)石族造岩鉱物に属する繊維状けい酸塩鉱物であるアクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クロシドライト、トレモライト、あるいはこれらを一つ以上含む混合物をいう」と定義しています。また、これら6種類のものを石綿(アスベスト)として世界的に規制の対象としています。

歴史

アスベスト(石綿)は蛇紋石や角閃(せん)石などの天然に産する鉱物が繊維状に変形したもので、5000年以上も昔から「火に燃えない」布として利用されてきました。古代エジプトでは、ミイラを包む布として、ギリシャ神殿ではランプの芯として利用されていました。
古代ローマでは、アスベスト繊維を布に織って衣類等に使用し、中国でも火に強いという性質を利用して火で洗える布(火浣布・かかんふ)等に使用されていました。
日本では、「竹取物語」の中でかぐや姫が求婚者の一人(右大臣阿倍御主人・うだいじんあべのみうし)に「焼いても燃えない布(火鼠のかわごろも)」を要求する場面がありますが、実在していれば、アスベストであったであろうと云われています。
日本で初めてアスベストが発見されたのは、1764年(明和元年)頃、平賀源内が秩父の山中(中津川上流)で発見し、それを使用して火で洗える布(火浣布)の製作に成功しました。(火浣布略説・国立国会図書館)
   国内では、明治20年代(1887年)から輸入が始まり、1950年代から建材等の繊維素材として多くの用途にアスベストが使用されてきました。しかし、1960年代になって健康被害が指摘されるようになり、1975年(昭和50年)には吹付けアスベストの使用が禁止され、それ以降段階的に使用禁止が定められました。2004年(平成16年)10月には、アスベスト含有率が1%を超える製品の輸入、製造または使用が禁止となり、2006年(平成18年)にはアスベスト含有率が0.1%を超える製品の使用が禁止となり、2012年(平成24年)3月に、全面使用禁止となりました。ただし、現に使用されている物(例:建材として建物に組み込まれている状態)は、使用禁止の規定は適用されません。

産出地

産地としては、カナダ(クリソタイル)、南アフリカ(クロシドライト)が有名です。
国内では、北海道中央脊梁山脈、北上山地、阿武隈山地、秩父山地等で、産出されました。第二次世界大戦直前から各地で石綿資源の開発が始まりました。戦後も採掘していましたが現在では、採掘されていません。

特性・用途

アスベスト(石綿)は、不燃・耐熱性、耐薬品性、絶縁性、耐蝕・耐久性、耐摩耗性等に優れ、加工しやすく安価であることから、その特性を利用して断熱材、耐火被覆材、天井材、壁面仕上材等の建材や家電製品、接着剤等の工業製品等、約3,000種を超える多くの用途に使われてきました。

人体への影響

アスベスト(石綿)の成分は、珪酸、酸化マグネシウム、酸化鉄が主体で、有害な元素と思われるものは含まれていません。
アスベスト繊維はきわめて細かい(1本は、直径0.02~0.35㎛髪の毛の1/5,000)為、浮遊しやすく吸入されやすい特徴があります。その為、アスベスト繊維を吸入することで人体に健康的な影響があると云われ、除去等の作業を行う際には、アスベスト(石綿)の飛散防止措置が必要となります。
アスベスト繊維を吸入することにより、人体に与える健康的な影響として、肺がんや中皮腫等の病気を引き起こすおそれがあるとされています。それらは、アスベスト繊維が体内に侵入(暴露)し肺細胞へ物理的刺激を与えることによるものとされています。ただ、アスベスト繊維をどの程度の量、どのくらいの期間吸入すれば健康的な影響があるかは明らかではありません。また、アスベスト暴露から発症まで、15~40年の潜伏期間があるとされています。
国内では、2005年にアスベスト原料等を製造していた企業で、製造に携わった従業員やその家族及び工場周辺で多くの住民が健康被害を受けました。
   アスベスト(石綿)の危険性については、種類によって異なります。真綿のような白アスベスト(クリソタイル)は危険性が低く、それに比べて青アスベスト(クロシドライト)と茶アスベスト(アモサイト)は、鋭利な直線状で針のような形状をしており、肺細胞に刺さり易く体外に排除されにくいため危険性が高いといわれています。また、アスベストが含有されている建材等でも大気に飛散し人体に暴露しない状態であれば健康リスク(危険性)はないと化学的に認識されています。

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