「知ること」から始まる障がい理解~小学校での出前講座~
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更新日:2026年10月16日
「知らなかった」から「できることを考える」へ。
大田区では、障がいの有無にかかわらず、誰もが互いを理解し、支えあう地域づくりを進めています。
その取組の一つとして、小学校などで障がいのある方自身が講師となり、自らの経験や日々の生活の中で感じることを伝える「障がい理解出前講座」を実施しています。
この授業では、NPO法人大身連の方々と大田区福祉管理課で実施しており、障がいについての講話をはじめ、車いすや白杖、手話体験を行っています。
この記事は、障害福祉課が『障がい理解出前講座』を取材し、ご紹介するものです。
記事内では 当日の 講座の 様子を レポートしています。ぜひご 覧ください。
障がいのある方自身が「先生」になる授業
"車いすを利用している"、"聴覚に障がいがある"、"視覚に障がいがある"、それぞれの当事者の講師の方から、ご自身の体験を交えて、困りごとや工夫していること、みんなに知っておいてほしいことなどをお話ししていただきました。
講話から学んだこと、印象に残ったことを、ご紹介させていただきます。
車いすを利用する方から学んだこと


【足が不自由でも車の運転ができる!】
普段車いすを利用している方の車の運転について、お話しがありました。
みなさんは、片手や両足など身体に障がいがある方がどのように車を運転しているかご存じですか?
障がいの状態に合わせた装置を使うことで、自分で車を運転している方もいることを教えていただきました。
【公共交通機関で困ったこと】
車いすを利用している方が、駅員さんが事前に用意したスロープを利用して、電車に乗車したり、降車している様子を目にしたことがあると思います。
車いすの方が降りることが降車駅の駅員さんに伝達されておらず、スロープの準備がされていないために、予定していた駅で降りることができなかったことがあるそうです。
その時は周りの乗客の方に駅員さんに伝えていただくようお願いして、次の駅で降りることができた、という経験も語られていました。
【手助けしてくれる時にお願いしたいこと】
「なにか困っていることがあるのかな」と思ったときは、こちらからお願いする前に、声をかけてくれるととても助かるし、嬉しいと講師はおっしゃっていました。
知らない人に声をかけることは勇気がいることだと思うが、「声をかけることができた!」と思うように心がけてみてはどうでしょうか。とお話ししてくださいました。
一方で、何も言わずに車いすを押してくれる人がいらっしゃいますが、突然押されるとバランスを崩して転んでしまったりするため、一言声をかけていただきたい。とおしゃっていました。
聴覚障がいのある方から学んだこと

【聴覚障がいと緊急車両】
(こちらの写真は、生徒たちが両手をひらひらさせて、手話で「拍手」を表現しているところです。)
さて、みなさんは救急車や消防車などの緊急車両が来ていることをどうやって気づきますか?
通常は、サイレンの音を聞いて気づきますよね。
そんなのは「当たり前のこと」、と思っているかもしれませんが、聴覚に障がいのある方は、サイレンの音が聞こえません。
講師の方自身も、横断歩道を渡る際に、緊急車両が近づいていたが気づくことができずに、危険な経験をしたことがあり、青信号でも注意して行動しているとお話しされていました。
【日常生活の工夫】
耳が聴こえないので、目覚まし時計やチャイムの音が聞こえません。
そこで、目覚まし時計は振動で知らせてくれたり、
インターホンは音ではなく、光るチャイムなどを利用して生活しているとお話がありました。
【耳が聴こえなくても運転できる】
また、みんなに知ってほしいこととして、聴覚に障がいがあっても、「運転が可能である」ということを理解してほしいとお話しされていました。
こちらの「聴覚障害者標識」は、聴覚に障がいのある方が運転することを示しているマークです。
この標識を付けている車が、安全に通行できるように配慮してください。
視覚障がいのある方から学んだこと

【視覚に障がいのある方の困りごと】
最近、飲食店では、二次元コードやタッチパネルでの注文が増えていますが、タブレットは触っても凹凸が無いので、上下すらわからない。
店員さんがどこにいるかも分からないので、大きい声で、「すみません」と呼んで、注文したりしている。
また、電車やバスでは、席が空いていても見えないので、立っているが、「左側が空いていますよ」とか言っていただけるとありがたいな、とお話しされていました。
【点字ブロックについて】
点字ブロックの上に物を置いたりしないように気をつけているかもしれませんが、視覚に障がいのある方も、足の裏は障がいのない人と同じで、ボコボコしている上は歩きにくいので、白杖で点字ブロックを確認しながら脇を歩いていることが多いそうです。
そのため、点字ブロックの脇にも物を置かないようにしてほしい。とお話しされていました。
【シャンプーとコンディショナーの見分け方】
日常の工夫では、調味料ごとに入れ物に異なる個数の輪ゴムをはめて、触って判別できるようにしているそうです。
また、洗濯機もそのままだと、ボタンの種類を判別できないため、シールを貼ってボタンを使い分けているそうです。
ところで、皆さんが日常的に使うシャンプーやコンディショナーの容器も、大体同じ形をしていますが、文字を見なくてもどっちがどっちだか分かる工夫がされているのをご存じですか?
正解は「ボトルの側面の凹凸(ギザギザ)」。
凹凸があればシャンプー、なければコンディショナーと、触るだけで判別できるようになっています。ぜひ、ご自宅のボトルでも確認してみてくださいね!
【目の見えない人に位置を伝える工夫、「クロックポジション」】
クロックポジションは、和訳すると「時計の位置」です。
物の位置を時計の時間の位置でお知らせするものです。たとえばこの画像だと、「3時の方向に汁物」、「6時の方向にお箸」がありますというと分かりやすいですね。
ただし、街中で「10時の方向に電柱があります」と言っても、どのくらい先にあるのか分からないので、距離も一緒に伝えることが大事です。
体験学習の様子
出前講座では、座学だけではなく、体験学習も行っています。
車いすに乗ったり、目隠しをして白杖をついて歩いてみたり、手話を習ってみたり。
どの生徒も、とても楽しそうに体験してくれているのが印象的でした。
車いす体験

車いす体験では、二人ペアになり、「車いすに乗る人」、「車いすを押す人」を交代で体験しました。車いすに乗っている人が安心して、怖い思いをしないように注意して押しています。

担任の先生も一緒に体験しました!
写真は車いすでの段差の乗り越え方法を、生徒に教えている所です。
車いすに座っているのは先生ですが、段差を乗り越えるために前輪を持ち上げた瞬間、「ひゃー!!」と素の歓声(?)が飛び出しました!
実は車いすって、少し傾くだけで大人でも想像以上にドキドキするもの。
先生の臨場感あふれるリアクションに子どもたちも大盛り上がりで、乗る人の感覚をみんなで楽しく体感できました。
取材している私たちも思わずニッコリです。
手話体験


【手話体験】
はじめに、聴覚障がいの方のコミュニケーションの方法は、「筆談」、「空書」、「口話」、「身振り」、「指文字」、「手話」があるということの説明がありました。
そのあと、「こんにちは」、「ありがとう」などのあいさつや、国語、算数など教科を表す手話を学びました。
生徒さんに限らず、担任の先生もともに一所懸命に覚えようとしている様子が印象的でした。
白杖体験

【白杖体験】
視覚に障がいのある方が歩くときは、白杖を使います。
はじめに講師の方から、白杖を持つときの注意事項や介助者のサポートの仕方などを教えていただきました。その後二人ペアになって、「目隠しをして白杖を使って歩く」、「サポートする」を交代で体験しました。
体験前に講師の方から説明を受けている際に印象的だったのは、白杖を持つ位置には輪っかが付いているが、そこに「手を通した方がよいか」、「通してはダメか」と講師が質問を投げかけた際、生徒さんたちは、「ダメだと思う。転んでしまうから。」と答えていていました。
たしかに、輪っかに手を通してしまうと、白杖がなにかにつっかえてしまったときなど一緒に手を持って行かれて転んでしまうので、その回答は正解だったのですが、小学生の想像力の高さに驚かされました。
そのほか、見えないと不安や恐怖で介助者をしっかり掴んでいるのかと思っていましたが、腕にしがみついたりすると転んでしまうため、実際には、介助者のひじのあたりを軽く掴むようにしていることを学び、みんな教えてもらったとおりに実践していました。

職員も生徒さんとペアになり、白杖体験をさせていただきました。
一緒にペアになった生徒さんは、私が白杖を使用している際、障害物などがある前では声をかけてくれたり、
私が不安でゆっくりになってしまった時でも、歩幅や速度を合わせてくれてとても心強かったです。
また、余談ですが、役割を交代して、私が介助者になったとき、声掛けや歩幅を合わせることを意識しましたが、目隠しをしている状態でも、生徒さんたちは怖がる様子もなくスタスタと前進!
大人は恐怖心からどうしても足がすくんでしまいがちですが、子どもたちは恐れを知らず、新しい感覚への順応が本当に早いと、その度胸の良さと飲み込みの早さに感心してしまいました。
授業を通じて広がった気づき
講師の方々のリアルなお話や、子どもたちの真剣な体験学習を通じて、改めて気づかされたことがあります。
それは、「障がいのあるなしに関わらず、困っていることに気づいたら言葉にして声をかける」という、当たり前のようでいて大切な一歩です。
街なかで「何か手伝えることはあるかな」と思ったら、心の中で思うだけでなく、ぜひ「何かお困りですか?」と優しく声をかけてみてください。

相手の状態によって必要なサポートは一人ひとり違います。「大丈夫です」と断られることもあるかもしれませんが、その声かけ自体が、お互いを思いやる「心のバリアフリー」の第一歩になります。
「知ること」から一歩進めて、誰もが支え合える温かい地域を、みんなで一緒に作っていきましょう。
大田区では、今後もこうした学びの機会を通じて、障がいのある方もない方も安心して暮らせるまちづくりを進めていきます。
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